日本小児看護学会誌
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思春期炎症性腸疾患患者のQOLと療養行動、ソーシャル・サポートの関連
工藤 悦子
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2012 年 21 巻 2 号 p. 25-32

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抄録

本研究の目的は、思春期炎症性腸疾患(以下、IBD)患者のQOLについて療養行動やソーシャル・サポートとの関連を明らかにすることである。11〜18歳のIBD患者42名に対し自記式質問紙調査を行い、有効回答が得られた31名を分析対象とした。その結果、QOLと療養行動との関連では、食事制限がない群、家で食べる量を調整しない群、学校で食べる量を調整しない群でQOLが高かった。また、QOLとソーシャル・サポートでは、症状があったときの対応の手段的サポート(ρ=0.479、p<0.006)、睡眠・休息の手段的サポート(ρ=0.434、p<0.015)、内服・注腸の情報的サポート(ρ=0.400、p<0.026)、症状があったときの対応の情緒的サポート(ρ=0.377、p<0.036)で正の相関が見られた。食事制限の有無や食べるものの量を調整しながら生活することが、思春期IBD患者のQOLに影響することを理解したうえで、患者が日常生活の中で療養行動を継続できるよう、具体的な方法を患者とともに考えていくことの重要性が示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本小児看護学会
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