日本小児看護学会誌
Online ISSN : 2423-8457
Print ISSN : 1344-9923
ISSN-L : 1344-9923
被虐待児をケアする病棟看護師に生じる認知・感情とその変容をもたらす要因
鎌田 佳奈美
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 23 巻 2 号 p. 18-24

詳細
抄録

本研究は、被虐待児との関わり中で看護師自身に生じる認知・感情とその変容をもたらす要因を明らかにすることを目的とする。被虐待児のケアに5年以上携わった経験のある看護師6名を対象に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析を行った。結果、看護師は《これまでの子どもとは違う反応》《ケアへの戸惑い》《看護への自信の揺らぎ》《子どもとの距離がとれない》《子どもへの拒否感・嫌悪感》《否定的な感情を抱くことへの罪悪感》《無力感》《周囲からの孤立感》《心理的な極限状態》といった否定的な認知・感情から、《限界を認めケアの意味を見出す》という肯定的な認知への変容を示した。看護師の認識に変容をもたらした要因として、《知的理解》《子どものことがわかるという体験》《看護師自身が安全と感じることのできる環境》《ケアの構造化》《チームの見守り》の5カテゴリーと13サブカテゴリーを抽出した。本研究結果より、被虐待児をケアする病棟看護師への支援として、子どもへの共感的理解、ケアの構造化や安心で安全な病棟風土づくりの必要性が示唆された。

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本小児看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top