2014 年 23 巻 3 号 p. 26-33
慢性疾患をもつ子どもの社会復帰を支える保護者11組を対象に、子どもと家族が抱える問題と専門職者の支援の現状を明らかにし、具体的支援方法を検討することを目的に質的記述的研究を行った。結果、子どもと保護者は医療者から【保護者をサポートするための支援】を受けながらも、保護者は【病気の先行きに関連した進学や就職への不安】【病気・入院による学校生活への支障】【学校生活を送るうえでの心配・困難】【副作用による友人との関係性の困難・気がかり】を体験していた。専門職者の支援として、【進学や就職の将来への不安に対する支援】【病気・治療の管理を目的とした支援】【学校生活を送りやすくするための支援】【スムーズな復学のための支援】があった。しかし、保護者からは【日常生活上の困難を解決するための相談する場・人材・資料の要望】【入院中から、復学のための情報提供や相談等の支援の要望】【学校生活を送れるための物理的環境や人的環境の整備の要望】【子どものことを知っている医療者による退院後の支援の希求】があった。今後は、入院中から個々の退院後の生活に即した具体的な患者指導、養護教諭と子どもの通院する医療機関の医師・看護師との連携を可能とするシステム等の検討が必要である。