2014 年 23 巻 3 号 p. 18-25
本研究の目的は、思春期、青年期にクローン病 (Crohn’s Disease ; CD) をもつ人の療養法を遵守できない体験を明らかにし、なぜ療養法を実施することが難しいのかを検討することである。11歳から25歳までにCDと診断され11年から22年が経過した人10名に半構成面接を行い質的帰納的に分析した。結果、思春期、青年期にCDを発症した人は、診断前後の時期に [自分におこっていることがわからない] ので医師である [先生とお母さんに療養法を任せざるを得ない] 体験をしていた。すると、社会生活では [友だちの輪の中で自分の価値が揺れ動く] ことや [支えているのは母だけどお母さんから離れたい] 思いから療養法の実施が困難であった。結果より、思春期、青年期にCDを発症した人は、病気と向き合うまでに時間を要するため、診断前後の時期の療養行動を親に任せるが、発症が自立の時期であり親から療養行動を引き継ぐタイミングがないことが分かった。