日本小児看護学会誌
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研究報告
看護師が抱く子どもの終末期ケアを行う上での障壁と困難
名古屋 祐子塩飽 仁鈴木 祐子槌谷 由美子井上 由紀子相墨 生恵木村 智一
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2014 年 23 巻 3 号 p. 49-55

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抄録

 本研究は、看護師が抱く子どもの終末期ケアを行う上での障壁と困難の内容を明らかにすることを目的とし、終末期ケアに携わった経験のある看護師21名に半構造化面接を行った。面接では、終末期ケアにおける困難やその困難が生じている背景を詳細に尋ね、その内容を質的帰納的に分析した。その結果、障壁として5カテゴリ【終末期ケアの経験不足】【個別性の高い事例】【決められた制約】【予測がつかない最期】【死との対峙】、困難として7カテゴリ《症状緩和》《子どもと家族への情報提供と意思決定支援》《子どもと家族への声のかけ方や関係作り》《子どもと家族を支えながら希望を叶える関わり》《医療者間での対応や治療方針の統一》《他の患者家族への対応》《行った終末期ケアの評価》が抽出された。これらのうち、【終末期ケアの経験不足】と【個別性の高い事例】は子どもの終末期ケアに特有の障壁であると考えられる。また、《子どもと家族への情報提供と意思決定支援》《子どもと家族への声のかけ方や関係作り》《子どもと家族を支えながら希望を叶える関わり》といったコミュニケーションに関連した困難が多く抽出されたが、要因の一つにbad newsを子どもに伝えることが難しい現状があると考えられる。

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© 2014 一般社団法人 日本小児看護学会
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