抄録
本研究の目的は看護師が日常の業務のなかで児童虐待についてどのような意識をもちながら看護を行っているか、その実態と、看護師が児童虐待を早期発見・介入するための学習内容を検討していくための示唆を得ることである。小児外来、小児病棟、救急外来、救急病棟の看護師を対象に質問紙調査を実施し、249人から回答を得た(回収率62.3%)。その結果、児童虐待が疑われる子どもへ関わった経験がある看護師ほど、子どもや保護者に対して児童虐待はないかを意識して関わり、発見・通告できる技術があると考えている傾向にあった。そして、対応経験のある看護師のおよそ9割が対応に困難を感じていた。また、児童虐待に関する学習経験が看護師の意識を高めることが示唆された。児童虐待の対応経験の有無にかかわらず、看護師が対応技術を身につけるためにも研修会等で学習をしていく必要がある。その学習内容として(1)看護師が場面をイメージできる現実的な事例を用いて行うこと、(2)看護師が児童虐待対応で困難を感じる内容を解決できるための知識を提供すること、(3)病院内や地域での児童虐待対応における連携のネットワークを理解することが示唆された。