本研究の目的は、小児期に生体肝移植を受けた患者にとっての生体肝移植やそれに伴う療養生活の意味を明らかにし、小児生体肝移植患者やその家族に対する支援への示唆を得ることである。ナラティヴ・アプローチを用い対象者2名にインタビューを実施した。両氏に共通したテーマ【移植患者であることを自問自答する】、【生きていることは、生かされていること】、【すぐそばにいる生体ドナーという絶対的な存在】を見出した。小児生体肝移植患者は、成長発達過程での療養生活で様々な障壁にぶつかり、移植患者であることを自問自答し、特に思春期・青年期には移植患者であることが心理的葛藤となり、自己概念の形成における障害となり得ること、また移植患者としての自覚や自律を育むためには、思春期以前より成人期への移行を見越したサポートを行う必要があり、社会における移植患者への理解を深めることも重要な支援であることが示唆された。