2016 年 25 巻 2 号 p. 8-15
本研究は、小児看護に携わる看護師の子どもの権利擁護実践に至るプロセスを明らかにすることを目的とした質的帰納的研究である。対象は、関東圏にある大学附属病院3施設の小児看護経験5年以上の看護師14名である。結果、コアカテゴリー【子ども中心に考える力】の発展プロセスとして明らかになった。発展プロセスは、≪指示のままに動き、自分で考えられない≫、≪非言語化されたルールに従ってしまう≫、≪子ども中心に考える力を形成し一歩踏み出す≫、≪子どもの立場に立ち皆を巻き込んで実践する≫の4段階で構成されていた。さらに、【子ども中心に考えられる力】の強まりに影響をもたらすのは、≪子どもの力の確信≫、≪子どもの力を伝える工夫力≫、≪子どもに引き寄せられる思い≫の3つの力であった。発展プロセスは、小児の臨床場面、看護基礎教育、現任教育、研究に適用し、看護師の子どもの権利擁護実践をより早く可能にできることが考察された。