2016 年 25 巻 3 号 p. 84-90
本研究の目的は、過去10年間に日本国内の看護系学術雑誌に掲載されたNICU看護師の母親に対する退院支援に関する研究動向と課題を明らかにすることである。Web版医学中央雑誌 (Ver. 5) を用いて 「新生児集中治療室/NICU」 and 「母親」 and 「退院」 を検索し、研究目的に沿った14論文を研究対象とした。結果、年次別の文献推移は2006年から2013年までに毎年1件~3件あり、2014年以降は0件であった。研究内容は退院後の育児に対する思いや愛着形成に関する研究が5件、退院の意思決定や母親の心理状態についての研究は2件、母乳育児継続の支援に関する研究は2件、Family-Centered Care (以下、FCC) や家族形成のプロセスについての研究は3件、退院後の継続支援についての研究は2件であった。今回のレビューより、出生後早期からの退院後の育児を見据えた看護支援の提供、退院の意思決定に寄り添う看護支援の提供、FCCの理念に基づいた看護支援の提供、病院の看護職と地域の看護職との連携である看-看連携および他職種連携の強化の重要性が示唆された。