日本小児看護学会誌
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研究
医療的ケアを必要とする重症心身障がい児の父親が在宅での新たな生活を作り上げる過程
上杉 佑也前田 貴彦
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2021 年 30 巻 p. 17-25

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抄録

 本研究は、医療的ケアを必要とする重症心身障がい児の父親が在宅での新たな生活を作り上げる過程を明らかにすることを目的とした。父親9名に半構成的面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。父親は【新たな生活への戸惑い】が生じ、【目の前のことで精一杯な日々の暮らし】を送りながら負担感の強い《右往左往する生活》を過ごしていた。母親に子どもの養育を頼る中で、自身も子どもの対応を行えるという【自信の獲得】が《生活の根幹をなす安心》となり、【心のゆとりによる行動の広がり】を見せるとともに【我が家のライフスタイルの模索】をしていく。周囲のサポートや自身の信念が《子どもと共に生きていくことを支える力》となり、幾多の経験を乗り越える中で、多様な【ものごとの受け止め】ができるような精神的な成長を遂げ、《我が家のペースが創られた生活》を確立していくという過程が描かれた。

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© 2021 一般社団法人 日本小児看護学会
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