日本小児看護学会誌
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小児がんで腰椎穿刺・骨髄穿刺を繰り返し受けた幼児の対処行動の実際(第一報)
今田 志保佐藤 幸子佐々木 るみ子今 陽子五十嵐 誌保
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2022 年 31 巻 p. 234-241

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抄録

 本研究の目的は、腰椎穿刺による髄腔内注射(IT)や骨髄穿刺(BMA)を繰り返し受けた小児がんの幼児の対処行動の変化を明らかにし、治療状況や検査前の様子から対処行動の変化に影響を与える要因を検討することである。幼児と保護者3組を対象に、IT・BMAの参加観察とインタビュー調査を縦断的に行った。分析は、対処行動に関するデータを抽出し、事例ごとに変化とその要因を検討した。その結果、幼児は、IT・BMAの回数を重ねることで効果的な対処行動が取れるようになるとは限らなかった。対処行動が変化する要因には、化学療法に伴う吐き気やだるさ、ステロイド剤に伴う食欲亢進や精神変調があげられた。IT・BMAを待つ間の幼児の心理状態が入室時や処置室内の対処行動に影響していた。以上より、治療経過や副作用の出現を観察、予測しながらかかわる必要性や、検査前までの幼児の環境を整えて臨めるようにすることの重要性が示唆された。

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© 2022 一般社団法人 日本小児看護学会
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