2022 年 31 巻 p. 26-34
本研究の目的は、育児経験者である看護師の育児経験前の臨床経験を通して、小児看護の困難感を生み出す構造を明らかにすることである。育児経験前・後で小児病棟で5年以上勤務する看護師6名を対象に、半構成的面接を実施しKJ法で分析した。その結果【“子ども” への親愛感は必須の特性】、【子どもをめぐる “環境” という視野の狭さ】、【“母” への想像力不足】、【“子ども” の個別性へのアプローチ不足】、【育児という実体験がない弱み】、【母子を優先できない姿勢】、【“子ども・母親” との人間関係構築不足】という7つの島に統合され困難感の極みとも言える構造が指し示された。育児経験者である看護師は、育児経験前の看護師に【育児という実体験がない弱み】に配慮した教育的支援など、小児看護の場で果たすべき教育的役割は大きいことが示唆された。