日本臨床免疫学会会誌
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総説
「腎臓」 : 腎血管炎の病態と臨床
—ループス腎炎, ANCA関連血管炎を中心として—
吉田 雅治
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2004 年 27 巻 3 号 p. 137-144

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抄録
抗好中球細胞質抗体 (anti neutrophil cytoplasmic antibody : ANCA) は, 近年見い出された腎・肺を中心とする毛細血管および小型血管炎を示す症例で高率に見出されるIgG型のヒト好中球細胞質に対する自己抗体である. C (PR-3) ANCAとP (MPO) ANCAに大別され, Wegener肉芽腫症でC (PR-3) ANCA, 顕微鏡的多発血管炎, 腎血管炎でP (MPO) ANCAが高率に見出され, ANCA関連血管炎, 腎炎と呼称される. ANCA, 抗DNA抗体を中心に疾患特異的自己抗体の測定をふまえた腎血管炎の鑑別診断は, 厚生労働省の難病の診断基準の手引きを参照にして行う. 腎血管炎に共通した治療は早期に診断し疾患活動性の高い時期にステロイド治療, 免疫抑制薬を中心とした強力な免疫抑制療法を病型・病期に応じて適切に行い, 慢性期には臓器機能保護をめざした抗凝固, 抗血小板療法を行うことである. ANCA関連血管炎は活動性と相関してCRP値, ANCA力価が変動する例が多く, 免疫抑制療法を施行する際の指標として有用であり, 腎血管炎に共通した強力な免疫抑制療法施行時の感染症の併発対策に充分注意が必要である.
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© 2004 日本臨床免疫学会
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