日本臨床免疫学会会誌
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総説
消化管
高橋 裕樹小原 美琴子今井 浩三
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2004 年 27 巻 3 号 p. 145-155

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抄録
膠原病には多彩な消化管病変の合併がみられることが知られており, これらは1) 膠原病自体による消化管障害, 2) 治療ため使用している薬剤の副作用, 3) ステロイド剤 (CS) などによる免疫抑制状態を誘因とする消化管感染症, に大別できる. 1) には全身性エリテマトーデス (SLE) でのループス腸炎や蛋白漏出性胃腸症, 強皮症での逆流性食道炎や慢性偽性腸閉塞症, 腸管嚢腫様気腫症, 関節リウマチでのアミロイドーシス, 悪性関節リウマチや顕微鏡的多発動脈炎での腸潰瘍・出血, ベーチェット病での回盲部潰瘍などがある. 特にSLEに合併する大腸潰瘍はCSに抵抗する難治性消化管病変のひとつである. SLEに合併した大腸病変22例 (本邦) の解析では, SLEの罹病期間は9.9年と長期例に多く, 部位は直腸・S状結腸で77%を占めた. 半数で穿孔・穿通を生じ, 11例中6例が死亡するなど予後不良である. 2) としては非ステロイド消炎鎮痛剤 (NSAID) による消化性潰瘍に加え, NSAIDやCSによる腸病変がある. 特にCS使用例では腸管穿孔が発症しやすく, 細心の注意が必要である. 3) としてはカンジダ性食道炎やサイトメガロウィルス腸炎があり, 特に後者では出血・穿孔をきたすこともあり, 早期の診断が必要である.
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© 2004 日本臨床免疫学会
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