日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
腸管Behçet病に仙腸関節炎および第8トリソミーを伴う骨髄異形成症候群(RAEB-t)を合併した一剖検例
鍔田 利恵子鈴木 文仁杉原 毅彦小川 純萩山 裕之南木 敏宏上阪 等窪田 哲朗宮坂 信之
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2005 年 28 巻 1 号 p. 48-55

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抄録
  症例は69歳男性.発熱,紅斑,有痛性の多発性口腔咽頭潰瘍で発症し,経過中に回盲部潰瘍を認め,腸管Behçet病が疑われた.その後,汎血球減少,骨髄芽球の増加を認め,第8トリソミー陽性の骨髄異形成症候群(MDS, RAEB-t)と診断された.一連の経過から,腸管Behçet病とMDSの合併が最も考えられたが,Sweet病や単純性潰瘍とMDSの合併,あるいはMDSの免疫不全による回盲部膿瘍などとの鑑別に苦慮した.腸管Behçet病とMDSの合併は本邦を中心に報告例が散見されるが,諸外国での報告例は極めて少ない.また,これら症例の大多数が第8染色体のトリソミーを保有していることから,第8トリソミーと腸管病変の関連が示唆されるが,詳細は不明である.同様の症例を集積,検討することで少なくとも一部の腸管Behçet病の病因の解明につながると期待される.さらに,本症例は,経過中高度の腰痛を認め,仙腸関節炎の合併が確認された.腸管Behçet病とMDSの合併例で仙腸関節炎合併の報告例はこれまでにはなく報告した.
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© 2005 日本臨床免疫学会
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