日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説 特集:遺伝子チップを用いた臨床免疫研究の最前線
Th1/Th2バランス解析用DNAアレイフィルターの開発
山口 亜希富樫 祐二幸田 敏明西村 孝司
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 28 巻 2 号 p. 86-91

詳細
抄録

  DNAアレイは一度に多数の遺伝子の発現レベルを解析することができる強力な手段であり,様々な分野で応用されてきた.我々はこの方法を生体内のTh1/Th2バランスの解析に応用することを試みたので,その概要について述べる.生体内の免疫応答は2種類のヘルパーT細胞サブセット,Th1およびTh2のバランスによって調節されており,これらのバランスが崩れると様々な免疫疾患をひきおこすと考えられている.従って,生体内のTh1/Th2バランス状態を把握することは,免疫病の診断,治療,予防等に非常に重要である.我々は,Th1細胞およびTh2細胞に特異的に発現する遺伝子を多数同定し,これらの遺伝子を結合させたDNAアレイフィルターを開発した.これを用いた解析により,生体内の免疫バランス状態を客観的に判定できることが可能となり,今後この方法を臨床応用することにより,免疫バランス状態に合わせたテーラーメイド治療の実現が期待できる.

著者関連情報
© 2005 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top