抄録
本稿では地域住民が自然環境をいかに利用するのか、環境の変化にいかに適応するのかという問題について、地域気候学の視点を提唱して考察する。インド農村を事例として、環境を本来の状態のまま利用する農学的適応技術、環境を都合のいいように改変する工学的適応技術、社会全体として多様性を高めることで環境の変化に対応する社会学的適応技術の3つの事例を紹介する。これらの技術は農業だけでなく、新たな自然の利用形態である太陽光発電についても応用可能である。日本における太陽光発電をめぐる問題も、自然を利用する姿勢、つまり異なる自然観が対立していると読み換えることができる。