日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
肺胞出血および急速進行性糸球体腎炎により再燃した顕微鏡的多発血管炎の一例
川尻 真也川上 純岩本 直樹藤川 敬太荒牧 俊幸一瀬 邦弘蒲池 誠玉井 慎美有馬 和彦中村 英樹喜多 雅子井田 弘明折口 智樹江口 勝美
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2009 年 32 巻 3 号 p. 189-194

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抄録
  症例は63歳女性.2002年,急性腎不全および多発性単神経炎を認め入院.皮膚生検での細動脈の血栓,MPO-ANCA陽性よりANCA関連血管炎と診断.ステロイドパルス療法および血漿交換により寛解導入.MPO-ANCAも陰性化した.以後,病状安定のためステロイド漸減し,2006年8月よりステロイド中止.2007年11月頃より血清Cr上昇,顕微鏡的血尿出現.2008年1月23日,発熱,呼吸困難にて近医受診.血液検査にてCRP上昇,腎不全の急性増悪および胸部X線写真にて両肺に浸潤影を認め,同日近医緊急入院.入院後,血痰および呼吸状態の悪化のため,翌1月24日当院転院.胸部CTにてびまん性浸潤影とスリガラス陰影を認めた.MPO-ANCA陽性化を認め,顕微鏡的多発血管炎の再燃による肺胞出血および急速進行性糸球体腎炎と診断.ICUにて人工呼吸器,持続的血液濾過透析管理.ステロイドパルス療法および血漿交換療法を施行.その後呼吸状態,腎不全の改善あり,人工呼吸器および血液透析離脱し寛解導入できた.維持療法として経口ステロイドにミゾリビンを併用し,短期間の経過観察だが再燃を認めていない.
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© 2009 日本臨床免疫学会
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