抄録
再発性多発軟骨炎(RP)は軟骨の慢性炎症を主徴とする稀な疾患であり病因として自己免疫機序が想定されている.今回,当科にて5例のRPを経験したので,その臨床像を検討した.症例は,男性4名,女性1名,初発時の年齢27~75歳で,初発からRPと診断されるまでの期間は10ヵ月~5年であった.初発時の所見は,耳介軟骨炎2例,関節炎2例,診断時までに耳介軟骨炎5例,関節炎5例,鼻軟骨炎2例,強膜炎1例,気管軟骨壁肥厚4例,胸水1例,肋軟骨痛1例,皮疹1例,難聴1例,口内炎,陰部潰瘍,回盲部潰瘍の合併(MAGIC syndrome)1例であった.2例が関節リウマチとして加療を受けていた.抗II型コラーゲン抗体は,測定可能であった4例中全例で陽性であり,経過を追えた3例では抗体価とCRP値に相関を認めた.初回治療はステロイド中-大量療法4例,少量ステロイド療法1例であった.再発した3症例に対しステロイドパルス療法を2例に,免疫抑制剤併用を2例に施行した.検討症例5例の診断後の予後は比較的良好であったが,本疾患は気管支狭窄や心病変など,致死的病変の合併もあり得るため早期診断が重要である.