日本臨床免疫学会会誌
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W6-1  扁桃炎に伴う反応性関節炎について:Tonsillitis-induced reactive arthritis (TiReA)
小林 茂人
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2012 年 35 巻 4 号 p. 311a

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抄録
  レンサ球菌感染症に伴う反応性関節炎はpoststreptococcal reactive arthritis(PSRA〉と呼ばれ,リウマチ熱(ARF)との異同が論議されている(Rheumatol 2004;43;949).我々は,レンサ球菌以外の細菌感染に起因する反応性関節炎(ReA)を多く経験したため,「扁桃炎に伴う反応性関節炎(TiReA)と報告している(Otolaryngol 1996:523:206).20-40歳に多く,関節炎は非対称性,大関節〈膝,足,手)などのoligoarthritisを呈する.リウマトイド因子(RF)陰性で繰り返す膝の関節水腫は本疾患も念頭に入れる.虹彩炎や輪状紅斑,原因不明の腹痛を伴うこともある.ARFにみられる舞踏病や成人例での心炎はない.多くはRFは陰性である.PSRAではASO/ASKも陽性で,抗カルジオリピン抗体(ベータGPI非依存性)が陽性になる.埋没扁桃に起こることが多い.レンサ球菌以外にpseudomonas aeruginosa, peptostreptococcus, chlamidia trachomatisなどが同定された.検討した範囲では,患者にはHLA-B39が有意に多かった(Arthritis Rheum 1992;35 supple 9;244).HLA-B39は興味あることにHLA-B27と分子相同性があることが報告された(Arthritis Rheum 1995:38:1672).急性型はNSAIDsや抗生剤投与にて完治する.慢性型は扁桃炎と関節炎を長期間に渡り繰り返すか,扁桃炎の症状が明確でない関節炎も多いが,扁桃摘出術によって完治する.扁桃炎による「focal infection」の一型と考える(口咽科2012;1:47-51).
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© 2012 日本臨床免疫学会
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