抄録
【目的】
これまで生物学的製剤使用中の有害事象症例報告は多数なされており,特に肺においては感染症を筆頭に多くの有害事象症例が報告されている.今回,我々は当院で生物学的製剤投与中に重篤な肺有害事象を2例相次いで経験したため,文献的考察を含めてこれを報告する.
【症例1】
60歳女性.平成13年RA発症.平成22年よりMTX 8 mg/週・PSL 3 mg/日内服継続しながらエタネルセプト導入.外来ではCRP 0.3~0.5 mg/dl,疼痛関節・腫脹関節0で経過していたが,平成23年8月外来定期受診時CRP: 5.4 mg/dlと上昇.胸部X線上右肺野に浸潤影認めたため自覚症状ないものの肺炎を疑い緊急入院.直後より抗生剤投与も効果なく疾患鑑別目的に気管支鏡施行した所リンパ球優位の所見あり特発性器質化肺炎(COP)と診断,PSL 30 mg投与で画像所見の改善を認め現在加療継続中.
【症例2】57歳男性.平成19年4月RA発症.発症後よりMTX 6 mg/週投与も2次無効のため翌年12月よりアダリムマブ導入.以降2年以上にわたり臨床的寛解状態で経過していたが,平成23年8月頃より右肩痛発症.血清学的所見上も異常なく経過観察されていたが,10月血液検査上CRP上昇認めたため胸部X線施行したところ右胸水所見あり.胸腔穿刺上淡血性胸水.穿刺後CTで右下肺に腫瘤影認め肺悪性腫瘍疑いで専門施設転院となり肺小細胞癌と診断され現在加療中.