日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-073  転写因子RORγtによる関節炎制御機構の解析
近藤 裕也田原 昌浩飯塚 麻菜坪井 洋人高橋 智松本 功住田 孝之
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2012 年 35 巻 4 号 p. 363a

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抄録
【目的】T細胞における転写因子RORγtの発現が自己免疫性関節炎に与える影響を明らかにする.
【方法】1)C57BL/6 (B6),RORγtトランスジェニックマウス(RORγt Tg)に対してコラーゲン誘導関節炎(collagen induced arthritis; CIA)を誘導し,発症率,重症度,関節炎の病理所見を比較した.2)CII投与後にリンパ節細胞を採取しCIIとともにin vitroで培養し,培養上清中のサイトカイン濃度をELISAで測定した.3)2)で培養したT細胞の転写因子発現をFACSで解析した.4)CCR6発現と転写因子発現との関連をFACSで解析した.
【結果】1)RORγt TgにおいてCIAの発症率,重症度がB6と比較して有意に抑制され,組織学的にも関節炎の所見は軽度であった.2)CII反応性T細胞によるIL-17産生は,RORγt Tgで有意に高値を示した.3)RORγt TgではCD4+T細胞におけるRORγt発現がB6と比較して有意に亢進していた.CD4+T細胞においてRORγt,Foxp3は共発現していたが,B6,RORγt Tg間でFoxp3発現の差は認めなかった.4)RORγt TgではCD4+ T細胞におけるCCR6発現が亢進しており,特にCD4+ Foxp3+ T細胞において有意な発現亢進を認めた.
【結論】RORγt Tgでは抗原であるCIIに対するIL-17産生が亢進しているにも関わらず関節炎発症は抑制されたことから,RORγt発現が関節炎抑制に関与している可能性が示唆された.
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© 2012 日本臨床免疫学会
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