2018 年 18 巻 5 号 p. 5_88-5_107
本論文では,常時微動観測に基づき,原因については不明であるが,東北地方太平洋沖地震によって短辺方向に向けて大きく傾斜した,短辺方向が1スパンの塔状比の大きい片廊下型杭基礎高層建築物の振動特性を抽出し,損傷度評価及び杭頭被害との関連性を検討した.はじめに,観測記録から上部構造の振動特性に関する分析,スウェイ効果の検討を行った.また,観測記録から確認された,短辺方向における低振動数領域での卓越した上下動の振動特性の把握,杭頭被害との関連性を検討する為,地盤・杭基礎・建物を簡略化し,水平・上下・回転の自由度を考慮した水平・上下・回転連成剛体モデルを構築した.解析結果から,観測記録と同様の振動特性が示された.併せて,損傷被害との関連性を提示し,基礎杭頭部での顕著な剛性低下を示した.