抄録
〈目的〉ヘプシジン-25は主にIL-6に誘導され,鉄代謝に影響し慢性炎症状態時の貧血病態形成に関与する.抗TNF-α及び抗IL-6療法を用いて治療した関節リウマチ患者のヘプシジンの変化を観察し,治療効果に影響するか検討する.
〈方法〉当院へ通院中の関節リウマチ患者のうち,インフリキシマブ治療を受け有効と評価された群,インフリキシマブで治療不十分と評価され治療中止した群・トシリズマブ治療が有効と評価された群の3群を抽出.治療前後の血清を用いてヘプシジン-25をELISA法で測定し,その他の臨床データも含めて比較検討した.
〈結果〉上記3群いづれも治療前後においてヘプシジン-25は低下した.インフリキシマブ抵抗群及びトシリズマブ有効群の治療前ヘプシジン-25血中濃度は,インフリキシマブ有効群よりも高い傾向が見られた.また,ヘプシジン-25濃度と関連する末梢血Hb値の治療前値の比較において3群間に有意差が見られた.
〈考察〉新規に生物製剤導入を検討する活動性関節リウマチ患者のHb値及びヘプシジン-25の測定は抗TNF-α療法及び抗IL-6療法の選択の決定の一助となるかもしれない.