2024 年 80 巻 2 号 論文ID: 23-00131
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を契機に,港湾施設の耐震化整備が進められている.港湾施設は,災害時の被害軽減だけでなく復興作業の拠点や水産業などの経済基盤を有しており,迅速かつ合理的な整備が求められている.そこで筆者らは,二重鋼矢板式岸壁の中詰め土で液状化を起こしていることに着目し,地盤内の過剰間隙水圧低減のため透水性の高い礫材を詰めた土嚢と透水性鋼矢板による対策を遠心力模型実験により検証した.実験結果から,土嚢の排水効果により過剰間隙水圧の発生が抑制され,透水性鋼矢板による過剰間隙水圧の消散時間短縮効果が確認された.また,液状化層を土嚢に置換することで,矢板背面の地盤支持力の向上による矢板の変形抑制効果も確認された.