日本臨床免疫学会会誌
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W3-3  腸管の自己反応性T細胞は自己免疫を制御する
門脇 淳三宅 幸子千葉 麻子山村 隆
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2013 年 36 巻 5 号 p. 339

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抄録
 腸管は最大の免疫組織であり,腸管免疫と自己免疫の関与が注目されている.
 まず我々は,MOG反応性のT細胞受容体トランスジェニック(2D2)マウスを用い,腸管リンパ球の解析を行った.2D2マウスの小腸上皮内リンパ球(intraepithelial lymphocytes : IEL)には,2D2 TCRの発現が高い細胞集団(TIEL-H)と発現がやや低い集団(TIEL-L)の二つの細胞集団が存在し,各々CD2+CD5+induced IEL,CD2CD5natural IELの性質を有していた.TIEL-H細胞,TIEL-L細胞を移入後,MOGによりEAEを誘導すると,TIEL-H細胞移入群でのみ病態が軽症化した.TIEL-H細胞移入群では,中枢神経系へのTIEL-H細胞の浸潤がみられ,Lag3などの免疫制御性分子の発現が上昇していた.TIEL-H細胞は,in vitroでeffector T細胞の増殖を抑制し,抑制にはLAG3,CTLA-4,TGFβが関与することが明らかとなった.KRNマウスにおいてもKRN TCRを発現するTIEL-H細胞は,in vitroでeffector T細胞の増殖を抑制した.
 これらの結果から,自己反応性T細胞は,腸管において制御性T細胞の性質を獲得し,自己免疫制御に関与することが示唆された.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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