日本臨床免疫学会会誌
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W4-1  CD28-CD80/86補助刺激阻害による細胞傷害性CD8T細胞依存性多発性筋炎モデルの新規治療法の開発
長谷川 久紀溝口 史高沖山 奈緒子東 みゆき宮坂 信之上阪 等
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2013 年 36 巻 5 号 p. 340a

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抄録
【目的】多発性筋炎(PM)は,細胞傷害性CD8T細胞による筋傷害が基本病態と推定されている.CD28-CD80/86補助刺激を阻害してT細胞応答を抑制するCTLA-4 Ig(アバタセプト)は,CD4T細胞応答を抑制するが,CD8T細胞応答は抑制しないとされてきた.我々は,CD8T細胞により筋傷害が生じるマウス筋炎モデルにおいてCTLA-4 Ig,抗CD80/86抗体の効果を評価し,CD28阻害が抗原特異的なCD8T細胞応答を抑制するか否かを検証した.
【方法】PMモデルであるC蛋白誘導性筋炎(CIM)マウスに対して,筋炎発症後の免疫7日目よりCTLA-4 Ig(アバタセプト),又は抗CD80抗体と抗CD86抗体とを併用投与し,21日目に筋組織を評価した.C蛋白のCD8T細胞エピトープをパルスした樹状細胞(DC)が誘導する筋炎(CPIM)マウスに,DC移入日からCTLA-4 Igを投与し,7日目に筋組織を評価した.
【結果】CIMとCPIMの組織学的スコアは,CTLA-4 Ig投与群が共に対照群と比較して有意に低かった.同様に,抗CD80/86抗体投与群のCIMの組織学的スコアも対照群より有意に低かった.
【考察】CD28阻害によりCPIMが改善したことは,CD4T細胞抑制を介さずCD8T細胞応答が直接抑制されたことを示唆する.CIMが改善した点と加味し,CD28阻害は,CD4T細胞に加え,CD8T細胞応答も抑制することから,PMに有効な新規治療法と期待される.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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