抄録
[目的]我々は関節リウマチ(RA)滑膜からヒト破骨細胞分化を促進あるいは抑制する新規因子の同定を目的として実験を行い,T cell leukemia translocation-associated gene (TCTA)蛋白由来の29 merの新規ペプチドがヒト破骨細胞分化を抑制することをみいだした(Kotake et al Bone 2009).今回このペプチドがRA患者由来線維芽細胞様滑膜細胞(fibroblast-like synoviocytes, FLS)の増殖を抑制するか検討した.[対象と方法]5名のRA患者のTKA時の滑膜組織より,in vitroにてFLSを分離し,5×103/wellのFLSを培養しCell proliferation kit (XTT based)を用い細胞増殖を定量化.TCTA蛋白の細胞外ドメインのGQNを含む29 merの新規ペプチドおよびそのコントロールとして29 merのscrambledペプチドを合成しこの培養系に添加し細胞増殖への効果を判定.[結果]1,5,10 micro g/mlの新規ペプチド添加により,ほぼ濃度依存的にFLSの増殖は抑制された.scrambledペプチド添加では濃度依存性の抑制は全く認められなかった.[考察]新規ペプチドはFLSの増殖を抑制し,低濃度でヒト破骨細胞分化を抑制する.今後,FLSの増殖抑制および破骨細胞による骨吸収抑制の両者に有効な点からのRAの治療への応用が期待される.[結語]RA滑膜由来新規ペプチドはRAFLSの増殖を抑制した.