抄録
自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis: AIP)とIgG4関連疾患(IgG4-related disease: IgG4-RD)の病態における免疫異常について述べた.IgG4-RDの膵病変と位置づけられる1型AIPの病因は不明であるが,免疫遺伝学的背景に自然免疫系,Th2にシフトした獲得免疫系,制御性T細胞などの異常が病態形成に関与すると考えられる.IgG4の産生には制御性T細胞や自然免疫異常を介したIL-10, BAFFなどのTh2サイトカインの関与が示唆される.自己免疫性膵炎の動物モデルを含めた最近の知見ともとに,発症機序に関する仮説も紹介した.