抄録
【背景】強皮症腎クリーゼは抗RNAポリメラーゼIII(RNAPIII)抗体と強い相関があるが,抗RNAPIII抗体陽性患者における腎クリーゼ関連因子については明らかではない.【目的】抗RNAPIII抗体陽性全身性強皮症患者について,腎クリーゼと関連する因子について検討した.【方法】全身性強皮症患者583例について,抗RNAPIII抗体の有無をELISA法によりスクリーニングした.抗RNAPIII抗体が陽性だった症例について,RNAPのサブセットを免疫沈降法により検討した.次いで腎クリーゼと関連する因子について,多変量解析により検討した.【結果】ELISA法では37例が抗RNAPIII抗体陽性だった.免疫沈降法により,19例が抗RNAPI/III抗体陽性,17例が抗RNAP I/II/III抗体陽性,1例が抗RNAPIII抗体単独陽性だった.腎クリーゼは,抗RNAPIII抗体陽性群(37例中9例,24%)では陰性群(546例中8例,1%)に比べ有意に高頻度だった(P<0.00001).多変量解析では,抗RNAPII抗体陽性(P=0.0118)と抗RNAPIII抗体のELISA index 157以上(P=0.0093)が腎クリーゼと関連する独立した因子だった.【結語】抗RNAPII抗体の共存と抗RNAPIII抗体のELISA index高値は,抗RNAPIII抗体陽性全身性強皮症患者において,腎クリーゼと関連する因子と考えられた.