日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム1-4 リンパ球サブセット解析に基づく自己免疫疾患の治療選択
中山田 真吾久保 智史岩田 慈田中 良哉
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2015 年 38 巻 4 号 p. 236

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抄録

  自己免疫疾患の病態は,多彩なリンパ球サブセットの分化異常と活性化,サブセット間の相互作用などによって,複合的な免疫異常で形成される.近年の基礎研究により,新たなリンパ球サブセットが同定されるとともに,各々のサブセットの間には可塑性/多様性が存在することが明らかになった.しかし,リンパ球の分化と機能はマウスとヒトで異なることも指摘されている.したがって,bench-to-bedsideに加えて,ヒトを対象とした免疫研究のbedside-to-benchによる双方向のトランスレーションが病態解明のみならず,新たな治療戦略の創出に重要となる.我々は,ヒト自己免疫疾患を対象として,米国NIHを中心に提唱されるヒト免疫細胞サブセット分類の標準化プロトコール(Human Immunology Project Consortium: HIPC)に則り,8カラーフローサイトメトリーを用いた患者末梢血免疫細胞サブセットの網羅的解析を実践してきた.全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患患者では,樹状細胞-T細胞-B細胞軸の異常が自己抗体産生,臓器病変の進展などの病態と相関することを見出した.さらに,B細胞及びT細胞の分化や活性化の状態の相違が分子標的薬の治療選択に有用である可能性を認めている.本講演では,いくつかの自己免疫疾患におけるリンパ球サブセット解析と治療応用の実際について紹介する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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