日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム1-5 非小細胞肺癌に対するNKT細胞特異的免疫細胞療法の開発
本橋 新一郎
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2015 年 38 巻 4 号 p. 237

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抄録

  Invariant Natural Killer T(iNKT)細胞は抗原提示細胞上のCD1d分子に提示された糖脂質抗原を認識し,活性化する.外来性抗原α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)にて活性化したiNKT細胞は癌転移モデルにおいて強力な抗腫瘍効果を示し,ヒト担癌状態においても内在性iNKT細胞の活性化により強力な抗腫瘍効果を発揮することが期待されることから,我々はiNKT細胞を標的とした免疫細胞治療の臨床試験を施行してきた.切除不能進行期または再発非小細胞肺癌に対して内在性iNKT細胞活性化を目指すα-GalCerパルス抗原提示細胞の静脈内投与において,全登録症例の全生存期間17.4ヶ月とともに,治療後にiNKT細胞特異的IFN-γ産生能の増強を認めた症例群における生存期間延長効果を明らかにした.この結果から,α-GalCerパルス抗原提示細胞の静脈内投与は,2011年9月に先進医療Bとして承認を受けた.先進医療Bは,薬事法未承認の医薬品を伴う医療技術のうち,一定の要件を満たすものについて保険診療との併用を可能とする制度であり,質の高い臨床研究を実施することで科学的なデータをより迅速に取得することを目的としている.2012年2月より症例登録を開始し,現在までに予定症例数の登録を完了したところである.臨床効果確認のための追跡調査およびNKT細胞特異的免疫学的解析を実施中であり,その途中経過につき紹介したい.

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