日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム2-2 交感神経によるリンパ球動態と炎症の制御
鈴木 一博
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2015 年 38 巻 4 号 p. 240

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抄録

  自律神経系の活動性が炎症性疾患の病態に影響を及ぼすことは古くから指摘されているが,その細胞・分子レベルでのメカニズムは現在でもなお十分に理解されていない.我々の研究から,交感神経から分泌される神経伝達物質ノルアドレナリンが,リンパ球上に発現するβ2アドレナリン受容体を介してケモカイン受容体CCR7およびCXCR4の反応性を高めることによって,リンパ球のリンパ節からの脱出を抑制することが示され,交感神経がリンパ球の体内動態の制御に関与することが明らかになった.さらに,自己免疫性脳脊髄炎や接触性皮膚炎といった炎症性疾患のマウスモデルにおいて,β2アドレナリン受容体の活性化に伴って病原性Tリンパ球のリンパ節からの脱出が抑制され,炎症部位への到達が妨げられることも明らかになった.これらの知見にもとづいて,交感神経による炎症性疾患の病態修飾のメカニズムをリンパ球動態という視点から考察する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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