日本臨床免疫学会会誌
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ビギナーズセミナー
ビギナーズセミナー2 シェーグレン症候群:トピックス2015
住田 孝之
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2015 年 38 巻 4 号 p. 280

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抄録

  シェーグレン症候群は,慢性唾液腺炎と乾燥性角結膜炎を主徴とし,多彩な自己抗体の出現や高ガンマグロブリン血症をきたす自己免疫疾患である.ドライアイやドライマウスに加えて全身の諸臓器病変を呈する.患者の平均年齢は60歳,男女比は1:17.4,患者数は約7万人である.診断は,1999年に制定された旧厚生省改訂診断基準による.1)口唇唾液腺や涙腺の生体病理組織検査,2)唾液腺管造影やガムテスト・シンチグラフイーによる口腔検査,3)シャーマー試験やローズベンガル染色・蛍光染色による眼科検査,4)抗SS-A抗体あるいは抗SS-B抗体に関する血清検査,の4項目から構成され,2項目以上が陽性であればSSと診断される.本症候群は,2015年1月から厚労省の指定難病の一つとなり,臨床調査個人票の提出により認定されると医療費補助が得られる疾患となった.認定には,診断基準を満たすこと,重症度分類(ESSDAI)により重症であることが必須となる.治療に関しては,ドライアイやドライマウスに対して,人工涙液やムスカリン作働性アセチルコリン受容体M3(M3R)のアゴ二ストによるQOLを高める対症療法が中心となる.活動性が高い臓器病変に対しては,ステロイドや免疫抑制薬を投与し,生命予後を改善する治療が必要である.将来の治療戦略として,B細胞やT細胞を標的とした生物学的製剤による臨床治験が進行中である.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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