日本臨床免疫学会会誌
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WS1-2 羊膜由来間葉系幹細胞の細胞製剤化と免疫関連疾患に対する治療応用
山原 研一
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2015 年 38 巻 4 号 p. 285b

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抄録

  近年,骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いた細胞治療応用に関し,その免疫調節作用が注目され,急性GVHD・クローン病に対する臨床効果が示されている.しかしながら,自己骨髄MSCは,(1)骨髄採取は侵襲を伴い重病人には不適である,(2)初代培養時の細胞が少なく,培養時間を要し,迅速対応が困難である,(3)白血病など骨髄疾患では不適である,といった問題点がある.これら問題を解決すべく,我々は(1)通常破棄され,(2)侵襲性がなく,(3)倫理的問題の少ない胎児付属物(羊膜・絨毛膜・臍帯)からMSCの樹立に成功し,その細胞移植による効果を,急性GVHD,心筋炎,腎虚血再灌流,全身性エリテマトーデス,炎症性腸疾患,放射線腸炎,肝硬変といった各種難治性疾患モデル動物を用いて検討を行い,その有用性を証明してきた.これらを踏まえ,我々は胎児付属物,中でも羊膜由来のMSCを用い,同種造血幹細胞移植におけるGVHD,Crohn病などの難治性免疫関連疾患を対象とした細胞治療の臨床応用研究を,当センター,兵庫医科大学および北海道大学と共同で行っている.今年度中に急性GVHDやクローン病,肝硬変を対象とし,羊膜MSCの北海道大学病院CPCを活用した医師主導治験(第Ⅰ-Ⅱ相)を開始し,今後,株式会社カネカが神戸に新たに製造するCPCを用いた企業治験(第Ⅱ-Ⅲ相)も計画している.本講演では,羊膜MSCにおけるこれまでの前臨床研究の成果および臨床試験の状況をご報告できればと考えている.

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