日本臨床免疫学会会誌
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WS2-1 中枢末梢連合脱髄症における新規自己抗体について
山崎 亮緒方 英紀河村 信利吉良 潤一
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2015 年 38 巻 4 号 p. 287a

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抄録

  中枢末梢連合脱髄症(combined central and peripheral demyelination, CCPD)は,中枢神経および末梢神経の脱髄をきたす稀な疾患である.近年われわれはこれらの患者血清中で抗neurofascin抗体が上昇していることを見出した(Kawamura, 2013).Neurofascin(NF)は主にランヴィエ絞輪部に存在し軸索と髄鞘との結合に関与する免疫グロブリンスーパーファミリーに属し,NF186とNF155が主なサブタイプであるが,CCPD患者では抗NF155抗体が上昇していた.今回われわれは,抗NF155抗体を測定するにあたり,従来のcell based assayにフローサイトメトリー法を組み合わせ,より客観的かつ定量的な抗体価測定法を開発した.
  CCPD暫定診断基準を用いて全国調査を行ったところ,38症例が抽出された.そのうち,抗体検査を施行した11例中5例(45%)で抗NF155抗体が陽性であった.この結果を踏まえ,当科受診中の脱髄性神経疾患患者における抗NF155抗体陽性率を調査したところ,CIDP 50例中9例(18%),ギラン・バレー症候群26例中1例(3.8%)で陽性となった.多発性硬化症32例,クロウ深瀬症候群3例,健常対照30例では検出されなかった.これらのうち,NF155陽性CIDP患者では,陰性患者とは異なり,若年発症,遠位軸索優位型,MRIにおける神経根腫大などの特徴を有していた.これらのことから,抗NF155抗体は脱髄性疾患の新規自己抗体として重要であることが示唆された.

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