日本臨床免疫学会会誌
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WS3-4 乾癬におけるIL-17の役割と抗IL-17単クローン抗体の臨床効果
中川 秀己
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2015 年 38 巻 4 号 p. 290b

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抄録
  乾癬は慢性の経過を取る炎症性角化症の代表疾患であり,遺伝的素因に種々の環境因子が加わって発症する多因子遺伝性皮膚疾患である.本邦での有病率は約0.3%である.乾癬では自然および獲得免疫の機能異常が知られているが,最近の研究からその発症・維持にT helper 17(Th17)/interleukin 17(IL-17)軸が重要な役割を担っていることがわかってきた.活性化した樹状細胞から産生されるIL-23によりTh17細胞が活性化され,IL-17をはじめとする種々の炎症性サイトカインが産生され,表皮細胞や血管に反応を引き起こす.活性化された表皮細胞は様々なサイトカイン,ケモカインを産生し,炎症性細胞浸潤を引き起こし,乾癬の炎症のループが形成される.IL-17はAからFまでの6つのサブタイプが知られているが乾癬で発現が増強しているのはA, C, Fである.これら事実を背景にIL-17を標的としたsecukinumab(本邦で既認可),brodalumab,ixekizumabの3種類の抗体薬が作られ,臨床試験により乾癬皮疹を著明に改善する結果が得られている.Secukinumabはヒト型IgG1κ抗IL-17A,ixekizumabはヒト化IgG4抗IL-17A,brodalumabはヒト型抗IL-17受容体モノクローナル抗体である.これらの抗体の作用機序,臨床効果,安全性についてのデータを述べ,乾癬治療における位置づけを考えてみたい.
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© 2015 日本臨床免疫学会
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