抄録
【目的】ループスモデルマウスを用いた研究にて,Ets-1 knockoutマウスではループス様病態の悪化が認められ,Fli-1 hetero knockoutマウスではループス様病態の改善が認められた.これら転写因子の全身性エリテマトーデス(SLE)患者末梢血での発現を計測し,臨床症状,検査値との関連を検討した.【方法】SLE患者44名(SLEDAI中央値4),関節リウマチ患者40名,健常人25名から末梢血単核球(PBMC)を採取し,RNAを抽出後,cDNAを作成し,realtime PCRにて各分子の発現を計測した.疾患発症時の臨床症状,検体採取時の臨床検査値と各分子との関連を検討した.また,PBMCを用いて樹状細胞,形質細胞様樹状細胞(PDC)の割合を計測した.【結果】SLE群ではFli-1の発現が他群と比べ有意に低値であり,Ets-1はSLE群,RA群とも低値であった.Ets-1とFli-1には正の相関が認められた.SLE発症時の臨床症状との関連では,腎炎を有する患者群でEts-1が高値,関節炎を有する患者でFli-1が低値の傾向にあった.プレドニゾロン投与量が多い程,Ets-1,Fli-1とも低値の傾向があった.インターフェロンpathway関連分子である,IRF5, TYK2の発現は低値であった.樹状細胞とPDCの割合には群間で差がみられなかった.【考察】SLE群においてEts-1,Fli-1の発現も低値であり,免疫抑制療法による影響が考えられた.また,SLE発症時の臨床症状との関連が認められ,各分子が病態に影響を与えている可能性が示唆された.