日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P3-007 慢性特発性間質性肺炎の新たなentityを形成する抗Mx1自己抗体の意義
濱野 芳匡木田 博井原 祥一Tripthi Lokesh広瀬 雅樹西川 博嘉本多 修水口 賢司富山 憲幸井上 義一熊ノ郷 淳
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2015 年 38 巻 4 号 p. 327a

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抄録

  慢性特発性間質性肺炎(IIPs)は,ATS/ERS基準により特発性肺線維症(IPF)および非特異的間質性肺炎(INSIP)に分類されているが,近年,慢性IIPsが多彩な背景を持つヘテロな疾患集団であることが明らかにされてきた.我々はProtein array法による網羅的な自己抗体検索により,INSIP特異的自己抗体として,抗Myxovirus resistance protein 1(Mx1)抗体に着目した.Mx1はインフルエンザなどの幅広いウイルスに対して抗増殖活性をもつtype I IFN誘導タンパクである.Mx1は免疫染色において,正常肺組織でII型肺胞上皮,気道クララ細胞,及び肺胞マクロファージへの局在,間質性肺炎組織でII型肺胞上皮過形成や気腔内肺胞マクロファージの集簇部位での強発現が確認された.我々は,IgG, IgA, IgM型の抗Mx1抗体価を定量可能なELISAを開発し,当院通院中の臨床的慢性型IIPs 114例に対して抗Mx1抗体の測定を実施した.20例(17.5%)に抗体陽性を認めたが(cut-off: 健常人mean + 6SD),高力価例はnon-IPF群にのみ認められ,抗ARS抗体陽性IIPs,UCTD-IIPsとは独立したentityを形成した.抗体陽性例は女性に多く,特徴的な画像所見と負の相関を認めた.IIPsにおける新たな自己抗体として抗Mx1抗体の意義を検討する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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