日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P7-021 治療抵抗性増殖性ループス腎炎におけるP糖蛋白質発現CD69+CD4+cellの関与
辻村 静代齋藤 和義田中 良哉
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2015 年 38 巻 4 号 p. 358a

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抄録

  【目的】 SLEのCD4+cellで細胞外薬物排泄により治療抵抗性を齎すP糖蛋白質(P-gp)とT細胞活性化指標であるCD69が高発現することを報告した.今回,これらの分子とSLEの組織障害との関連を検討した.【方法】CD4+cell上標的分子をフローサイトメーターと免疫組織染色で評価した.【結果】S LE(n = 116)ではP-gpはCD69+CD4+cellに高発現し,P-gp+CD69+CD4+cell比率はSLEDAIと正相関した.P-gp+CD69+CD4+cell比率は増殖性腎炎(pLN)合併群で高く,漿膜炎,NPSLEの有無で差は無かった.同細胞比率は,ステロイド(CS)不応性LNの中でもpLNは非pLNに比して高く,pLNかつNPSLE合併例で上昇していた.難治性pLN(n = 12)では末梢血ではP-gp+CD69+CD4+cellが増加し,病理組織では,腎間質リンパ球浸潤,P-gp+CD4+cell集簇を認めた.強化免疫抑制療法反応例(n = 5)ではP-gp+CD69+CD4+cell比率は低下し,不応例(n = 7)では上昇した.【結論】P-gp+CD69+CD4+cellは腎に浸潤して難治性活動性病変を形成することが示唆され,その制御が治療抵抗性克服に重要であり,末梢血P-gp+CD69+CD4+cellはその指標となると考えられた.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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