日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P7-022 全身性強皮症(SSc)の病態におけるYKL-40の相関について
古川 哲也荻田 千愛安部 武生横山 雄一田村 誠朗吉川 卓宏斎藤 篤史西岡 亜紀関口 昌弘東 直人北野 将康角田 慎一郎松井 聖佐野 統
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2015 年 38 巻 4 号 p. 358b

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抄録

  【目的】SScは皮膚および諸臓器の線維化を起こす難治性の結合組織疾患であり,間質性肺炎(IP)や肺高血圧症(PH)を合併することで生命予後に影響を与える.キチナーゼ様蛋白であるYKL-40は炎症と組織リモデリングに関与することが知られ,関節リウマチや炎症性腸疾患,乾癬,喘息,動脈硬化などで上昇するが,SScとYKL-40の関係について本邦では報告が少なく,今回,SScのIPやPH等の合併症やnailfold capillaryとの関係について検討を行った.【対象】当院外来で治療を行ったSSc患者53人(IP(−)PH(−)‐SSc患者36人,IP(+)PH(−)‐SSc患者9人,IP(−)PH(+)‐SSc患者2人,IP(+)PH(+)‐SSc患者6人),健常人8人.【方法】SSc患者血清中のYKL-40濃度をELISA法(Quantikine ELISA(R & D Systems)®)で測定した.【結果】健常人では21.1±2.1ng/ml(N = 8)であった.IP(−)PH(−)‐SSc患者において51.5.±10.3ng/ml(N = 36),IP(+)PH(−)‐SSc患者で62.7±24.6ng/ml(N = 9),IP(−)PH(+)‐SSc患者で61.4±1.3ng/ml(N = 2),IP(+)PH(+)‐SSc患者で126.1±48.3ng/ml(N = 6)であった.【考察】健常人と比較し,SSc合併により有意に上昇を認め,IPやPHの合併でさらに上昇していることが明らかになった.YKL-40がSScの病態や臓器合併の進行の相関を示すマーカーとして示唆された.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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