抄録
【目的】RDWはESRやCRPといった炎症マーカーと相関することが報告されている.皮膚筋炎におけるRDWの役割はよくわかってはいない.そこで,我々はRDWと皮膚筋炎の抗体陽性度(抗ARS抗体,抗MDA5抗体)との関係について検討した.【方法】当院でRDW(RDW-CV)が測定可能となった2011年1月以降で当科で皮膚筋炎と診断し,抗ARS抗体・抗MDA5抗体を測定した皮膚筋炎30例について,RDW-CVを含めた血算・炎症マーカー・各種生化学検査を,抗ARS抗体陰性・抗MDA5抗体陽性群(MDA5+),抗MDA5抗体陰性・抗ARS抗体陰性群(ARS−),抗ARS抗体陽性群(ARS+)に分けて比較検討した.【結果】RDW-CV(%)は,MDA5+群でARS−群・ARS+群と比較して有意に高かった(MDA5+ : 15.36±1.979, ARS− : 13.41±0.494, ARS+ : 13.73±0.808 P = 0.0133).RDW-CVのカットオフを14.6%と設定した場合,抗ARS抗体陰性であった皮膚筋炎症例に対して,抗MDA5抗体が陽性である感度は75%,特異度は90%,陽性尤度比は7.500,陰性尤度比0.278,オッズ比は22.94(P = 0.0361)であった.【結論】本研究では,RDW-CVは,抗MDA5抗体陽性群で有意に高かった.抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎では,炎症性サイトカインの上昇が指摘されており,そのことがRDW-CWの上昇と関連しているのではないかと考えられた.RDW-CVが,皮膚筋炎症例において,抗MDA5抗体陽性を予測するマーカーの可能性が示唆された.