日本臨床免疫学会会誌
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特集:慢性炎症と自己免疫疾患
生体イメージングで捉える免疫炎症・骨破壊の動的な実体
菊田 順一石井 優
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2016 年 39 巻 2 号 p. 124-129

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抄録

  “百聞は一見に如かず”というように,“見る”ことはヒトの五感のなかでも特別な存在感を示しており,視覚に訴える“ライブイメージング”研究の成果には強い説得力がある.石灰質に囲まれた骨組織は,生体で最も“硬い”組織であるため,従来生きたままでの観察が極めて困難であると考えられていたが,著者らは組織深部の観察が可能な“二光子励起顕微鏡”を駆使して,生体骨・関節組織内の生きた細胞動態をリアルタイムで解析するライブイメージング系を確立した.本技術を用いて,骨表面上での“生きた”破骨細胞による骨破壊過程を観察することに成功し,破骨細胞が骨吸収期と休止期を繰り返すこと,骨粗鬆症や炎症性骨破壊では骨吸収期の破骨細胞が増加すること,さらには関節リウマチの病因に関わるTh17細胞が破骨細胞の骨吸収を制御し得ることを明らかにした.さらに最近,関節組織の生体イメージング系を確立し,関節炎における破骨細胞の動態解析にも取り組んでいる.本稿では,これらの研究成果の解説に加えて,著者らが開発した骨組織の生体イメージングの方法論とその応用について概説する.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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