日本臨床免疫学会会誌
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ビギナーズセミナー
ビギナーズセミナー7 慢性炎症からみたメタボリックシンドローム
小川 佳宏
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2016 年 39 巻 4 号 p. 338

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抄録

  糖尿病や動脈硬化性疾患に代表される生活習慣病は過栄養や運動不足などの生活習慣の乱れが原因となって発症するが,これらの発症時期は微生物感染症のように明確ではなく,臨床症状が顕在化するまでに長い時間を要するため,どのようにして発症・重症化するのか不明の点が多い.メタボリックシンドロームは多くの生活習慣病の前段階であり,内臓脂肪型肥満を背景として糖脂質代謝障害や血圧上昇が並行して進展し,動脈硬化症を中心に糖尿病,高血圧症,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの生活習慣病を発症するという流れを指摘したものである.一方,炎症は内外の有害なストレスに対する生体防御反応であり,生体の恒常性維持機構として不可欠なものであるが,様々な理由により炎症が慢性化すると臓器の機能障害がもたらされる.近年,脂肪組織や肝臓などの臓器局所において実質細胞(脂肪細胞や肝実質細胞など)と間質細胞(マクロファージやリンパ球など)の相互作用による精緻な恒常性維持機構の破綻により炎症が慢性化することが明らかになり,特にメタボリックシンドロームから生活習慣病が顕在化する過程では,肥満の脂肪組織局所において慢性化した炎症が複雑な臓器連関により全身の遠隔臓器に波及・拡大化するものと理解することができる.本講演では,最近の研究動向を踏まえて,慢性炎症からみたメタボリックシンドロームの病態に関する最新の知見を概説する.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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