日本臨床免疫学会会誌
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WS5-1 脳脊髄液リンパ球の解析-ケモカイン受容体解析を中心に-
佐藤 和貴郎
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2016 年 39 巻 4 号 p. 355a

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抄録

  従来,中枢神経系は免疫学的特権部位と称され,血液脳関門のバリア機能の重要性が指摘され,プロフェッショナルな抗原提示細胞がなくリンパ組織やリンパ管も欠如した免疫学的にサイレントな組織と考えられていた.しかし最近になり血液脳関門は周囲の環境に応じて機能がダイナミックに変化するインターフェースとして捉える新たな見方が提案され,また2015年に脳内にリンパ管が存在することが複数の施設から報告されるなど,基本概念が変化している.臨床の現場で汎用される脳脊髄液検査から得られた髄液を用いて,フローサイトメーターにより数千個のリンパ球を解析することが可能である.髄液中のリンパ球のメジャーな分画はメモリーCD4陽性T細胞である.代表的な自己免疫疾患である多発性硬化症では,脳脊髄液中のリンパ球増加は通常認めないが,質的な変化については検討され,発症や再発のトリガーとなる「病原性T細胞」に関する知見が集積されてきた.私たちの研究部で行ってきたケモカイン受容体に着目したT細胞の解析も含め,髄液リンパ球研究の現状と将来について考える.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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