2016 年 39 巻 4 号 p. 380a
【目的】Glucose-6-Phosphate Isomerase(GPI)のAltered Peptide Ligand(APL)を米穀に発現させ,GPIペプチド誘導関節炎(pGIA)に対する抑制効果を明らかにする.【方法】1)GPIペプチドのT細胞エピトープのアミノ酸配列の一部が置換されたAPLコンストラクトをキヌアカ米に遺伝子導入してAPL発現米を作成した.予防的にAPL発現米または非導入米を7日間経口投与し,pGIAにおける2)関節炎の重症度および足関節の組織所見,3)脾臓・所属リンパ節のIL-17産生および血清抗GPI IgG抗体産生,4)脾臓のmRNA発現,5)脾臓のFoxp3陽性Treg細胞における分子発現を評価した.【結果】1)GPIのAPLコンストラクトを遺伝子導入したキヌアカ米でAPLペプチドの発現が確認された.2)APL群では関節炎の重症度,足関節の炎症細胞浸潤が有意に抑制された.3)APL群では脾臓と所属リンパ節細胞のIL-17産生,血清抗pGPI IgG抗体産生が有意に抑制された.4)APL群では脾臓のCD4陽性T細胞でGITR mRNA発現が有意に上昇していた.5)APL群では脾臓のFoxp3陽性Treg細胞でFoxp3発現およびGITR発現が有意に上昇していた.【結論】GPIのAPL発現米の経口予防投与によるpGIAの抑制効果が示唆された.