日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-12 コラーゲン誘導関節炎モデルマウスにおける自然リンパ球の検討
高木 綾子有信 洋二郎入野 健佑猪口 翔一朗押領司 大助大田 友里久本 仁美綾野 雅宏木本 泰孝三苫 弘喜赤星 光輝新納 宏昭塚本 浩赤司 浩一堀内 孝彦
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2016 年 39 巻 4 号 p. 380b

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抄録

  抗原特異的な受容体を持たず,自然免疫に働くリンパ球,innate lymphoid cells(ILCs)が注目されている.ILCsは,ヘルパーT細胞サブセット(Th1, 2, 17)に対応した3つのサブセット(ILC1, 2, 3)に分類され,それぞれに特異的なサイトカイン産生パターンを有する.ILCsは感染防御に働く一方,慢性炎症性疾患の増悪因子になる.アレルギー性疾患や自己免疫性疾患で,罹患組織や末梢血においてILCsが増加し,疾患活動性と相関すると報告された.ILC3は,IL-17やIL-22などのTh17サイトカインを産生するが,乾癬性関節炎や強直性脊椎炎では,患者の末梢血や関節液において,CCR6陽性ILC3やNKp44陽性ILC3が増加している.関節リウマチにおいても,これらのILCがTh17サイトカイン産生を介して,病態の形成に関与している可能性が考えられる.

  我々はコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルマウスにおいて骨髄,脾臓,末梢血,リンパ節,及び関節など局所におけるILCを同定し,その機能解析を行った.関節炎発症マウスの末梢血や関節液では,CCR6陽性ILC3が増加しTh17サイトカインの発現が高かった.一方,NKp46陽性細胞はそのほとんどがILC1のマーカーであるNK1.1陽性であり,Th1サイトカイン発現が高かった.また,関節リウマチ患者と変形性関節症患者の滑液中のILC分画に関しても検討を行っている.

  関節炎モデルにおけるILCの動態とヒト検体での検討結果について,文献的考察を加え報告する.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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