2016 年 39 巻 4 号 p. 379b
乾癬は,表皮の過増殖や角化異常により,厚い鱗屑をつけた紅色局面を呈する難治性の皮膚炎症性疾患である.Dermokine β/γ(DMKN-β/γ)は,表皮上層に恒常的に発現する約50kDaの分泌蛋白であり,乾癬などの炎症を伴う皮膚に高発現する.これまでの我々の検討結果からは,表皮細胞の増殖を制御して恒常性維持に重要な役割を有すると推測される.DMKN-β/γ遺伝子欠損型マウスを独自に作成したところ,生後数日まで皮膚に軽度の鱗屑を生じたが,成長とともに消失し,皮膚バリア機能には異常がみられなかった.そこで,イミキモドを7日間連日塗布して乾癬様皮膚炎を誘導し,DMKN-β/γの乾癬の病態における役割を検討した.その結果,DMKN-β/γ欠損マウスでは,野生型に比べて有意に強い乾癬様皮膚炎が認められ,病変部でのIL-17の発現が亢進していた.フローサイトメトリーや組織学的な検討で,DMKN-β/γの欠損により,病変部皮膚のTh17細胞に有意な影響はみられなかったが,好中球数は有意に増加していた.In vitroの検討では,イミキモドによる表皮角化細胞でのELR+CXCケモカインの発現が,DMKN-β/γ欠損により上昇していた.これらの結果より,DMKN-β/γがELR+CXCケモカイン産生とそれによる好中球浸潤を抑制することにより,乾癬の病態を制御する可能性が示唆された.