日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-34 末梢血microRNA Let-7e発現量とIL-10産生量および橋本病の病因との関係
渡邉 幹夫香川 朋也井上 直哉大津 裕佐伯 みのり勝又 由佳田久世 友希奈岩谷 良則
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2016 年 39 巻 4 号 p. 391b

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抄録

  【背景】橋本病は細胞傷害免疫により甲状腺に炎症が惹起される自己免疫疾患であり,様々なサイトカインがその病態形成に関わっていると考えられ,IL-10もその一つである.MicroRNAは非コードRNAであり,本研究では,そのうちの一つであるlet-7eがIL-10産生の制御因子として自己免疫性甲状腺疾患の病態形成に関わっている可能性を検証した.【対象と方法】11名の健常人サンプルを用いて,末梢血単核球におけるlet-7eの発現とIL-10産生の関連を調べた.IL-10産生についてはrealtime-PCR法を用いて解析したIL-10 mRNA発現量と,フローサイトメトリーを用いた細胞内IL-10陽性細胞比率の双方によって評価した.また,バセドウ病患者50名,橋本病患者42名,健常人28名において末梢血単核球のlet-7e発現を解析した.【結果】(1)let-7e発現量とIL-10 mRNA発現量は健常人において負の相関を示した.(r = −0.44, p = 0.0267)(2)let-7e発現量と刺激下でのIL-10産生細胞比率は健常人において負の相関を示した.(r = −0.49, p = 0.0166)(3)let-7eはバセドウ病患者や健常人に比べ,橋本病患者で有意に高発現であった.(p = 0.0003, 0.0011)【結語】let-7eはIL-10産生制御を介して橋本病の病因に関係している可能性がある.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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