日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-19 コリン欠乏食がマウスDSS腸炎に及ぼす影響とそのメカニズムの解明
佐上 晋太郎上野 義隆田中 信治藤田 朗林 亮平兵庫 秀幸北台 靖彦茶山 一彰
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2016 年 39 巻 4 号 p. 413a

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抄録

  【背景】脂肪肝は炎症性腸疾患のひとつであるクローン病(CD)においても一般人口同様に増加しているが,脂肪肝を引き起こす病態がCD腸管活動性に与える影響についての報告はない.CD患者ではコリン欠乏が一般に認められるが,コリン欠乏は脂肪肝の一因と考えられている.【目的】マウスにおいてメチオニンコリン欠乏食(MCDD)摂取がデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発腸炎へ及ぼす影響につき検討する.【方法】1)C57BL6/Jマウス(WT)にMCDDを摂取させ肝脂肪沈着を評価.2)Natural killer T(NKT)細胞欠損マウス(Jα18-/-以下Jα18およびCD1d-/-以下CD1d)に2.0%DSS自由飲水後,体重,便性状,血便,内視鏡スコア,組織学的スコアを解析.3)Jα18およびCD1dにMCDD負荷後,諸臓器の単核球の表面マーカーをFACSにて解析.4)大腸固有粘膜層単核球(LPL)にLPS刺激後に細胞内サイトカインの発現を確認.【結果】1)MCDD4週負荷にてWTで肝脂肪沈着を認め,NKT細胞が選択的に増加した.2)Jα18ではMCDD負荷により腸炎が改善したが,CD1dでは改善は認めなかった.3)WT, Jα18にてLPLにおけるtype II NKT細胞の割合が減少した.4)MCDD摂取後Jα18由来LPLからのIFN-γ,IL-4産生は減少したが,IL-10は不変であった.一方,CD1dでは各サイトカインの変動はみられなかった.【結語】コリン欠乏下ではLPLにおけるtype II NKT細胞の割合が減少し,腸炎が制御される可能性が示唆された.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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